松平頼則作品集 I
奈良ゆみへのオマージュ
1992 ALM Records - ALCD -39
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 彼の音楽はまったく非凡な音楽である。十二音音楽の語法に新鮮さを取り戻してやったのは、雅楽に関連した、スライドしていく音の存在だった。
ジョン・ケージ
 日本文学史上の一代傑作『源氏物語』は、平安時代の雅やかな王朝文化の栄えた10世紀末から11世紀初頭にかけて、紫式部によってかかれた。そこには多くの短歌が含まれている。私はその中から3首を選び、奈良ゆみのために3つのアリアを作曲した。

 彼女が歌う時、作曲家が五線紙に書けなかった色彩や光や二時や香りや、そしてそれだけでなく遠い国々や千年以上も経った時までも喚起し、人々を魅了する。

 楽器の選択はそれぞれの和歌の内容に依る。すなわち『藤壷』では、藤壺女御の夢のような行為の幻想のために笙を、『紫』では、言辞が笛の名手であったことから、その面影を追慕する意味でフルートを、『明石』では明石の君が琴の名手であったことから琴を活用した。
松平頼則
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