奈良ゆみ シャンソンの夕べ

音楽祭のパンフレットを目にした瞬間、熱い光が胸をよぎりました。昔描いた夢がそこに実現されていたからです。

私はシャンソン歌手にあこがれていた少女で、永い間シャンソンは私の心の秘密の場所でした。音楽大学に入ってからも、フランス歌曲を勉強しながら、学校には内緒で京都にあったシャンソン教室に通い、夜は音楽喫茶で歌ったりしていました。

その後、私はフランスに旅立ち、以来私の演奏活動は、現代音楽とクラシックです。自然の流れでサティ、ドビュッシー、ラヴェル、フォーレ、プーランクなどをよく歌いますが、現代のシャンソンでも、彼等の歌の息吹きを含んでいるように思われます。

そこで今回、シャンソンの旅、といえるようなプログラムを組んでみました。第一部は、サティ、プーランクの、当時キャバレーやミュージックホールで歌われた歌を中心に、第二部は人生のドラマ、魂の歌と言えるようなシャンソンです。このソワレが、人生への讃歌となればうれしく思います。

パリ、2004年5月23日

奈良ゆみ



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